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ほな、賢いみなさん。ジョーです。
木の一部分を見たら、まるで木全体みたいに見えるって気づいたことあります? それに、木の地下の部分が木の残りの部分にそっくりなのはなんでやろ? ちょっと変やな。
これは木やないけど、なんとなく木みたいに見えますわ。これもそうやし。
それに、この枝は血管にえらい似てますな。こっちも血管やけど、これもなんか木みたいやし、この部分は川を思い出させますわ。もしかしたら全ての川かもしれん。
雷、肺、天井のひび割れ…一体何が起こってるんやろ? なんでこんなに似てるんやろ?
いったん気づいたら、どこにでも見えてきますわ。夢にまで出てくるで! 川と雷とブロッコリーと木と、生きてるものやら生きてへんものやらの間に、なんか不思議なつながりがあるみたいやな。
まあ、これらの物には共通点があるんです。拡大しても縮小しても、同じ枝分かれのパターンが違うスケールで繰り返し現れるんです。これらはフラクタルって言うんやけど、数学者たちや、われわれ一般人までもが夢中になる特別な自己相似形なんです。
この動画は、なんでこれらがどこにでも見られるのかについてお話しますわ。
(物思いに沈んだ音楽)
木をわたしみたいに深く見たことあるかどうかわからんけど、木の一部が木そのものにも見えるっていう変な現象、これを自己相似性って言うんです。無限に小さな三角形が中に入ってる三角形みたいなもんやな。あるいは、これみたいなもんかな。
自然界で見られる自己相似形と違って、これらの完全な自己相似形は無限やねん。拡大しても縮小しても、そのパターンが永遠に繰り返し見られるんです!
数学者のブノワ・マンデルブロは、これらの自己反復する形をフラクタルって名付けました。だって、次元の間、あるいは分断された次元に存在するからです。
これってどういう意味やねん? ちょっと寄り道して、数学者が使う言葉の意味が、わたしたちが普段使う意味と違うって話をしましょか。
(明るい音楽)
わたしたちは次元というと、わたしたちが住んでる3次元か、紙の上の2次元、あるいは線の1次元を思い浮かべますわな。だって、幾何学の授業でそう習ったからや。
マンデルブロが「次元」って言うてたんは、物が大きくなったり小さくなったりするときに、どんなふうに空間を埋めていくかってことに関係してるんです。これが自然界のフラクタルを探る上で重要なポイントになるんやで。
この線の長さを2倍にしたら、線の量も2倍になります。言い換えれば、2の1乗倍に拡大されるってことやな。
同じことを正方形でやると、長さと幅を2倍にすると、面積は4倍になります。つまり2の2乗倍に拡大されるわけです。
立方体なら、長さ、幅、高さを2倍にすると、体積は8倍になる。つまり2の3乗倍ですな。
この指数こそが、マンデルブロの言うてた次元なんです。単純な形では、わたしたちが普段考える次元と一致します。
でも、こんなフラクタルを2倍に拡大すると、フラクタルの量は3倍になるんです。(フラクタルが共鳴する音)
この指数は1でも2でもなく、1.585次元になるんです。フラクタルは普通の三角形と同じように2次元平面上にあるけど、拡大したときの空間の埋め方が2次元の物体とは違うんです。
体積のあるフラクタルでも同じことが言えます。数学者から見たら、2次元より大きいけど、3次元には満たないんです。フラクタルはこの中間的な空間に存在してて、それがマンデルブロを魅了した部分なんやな。
ところで、ブノワ・B・マンデルブロの真ん中の名前、知ってます? ブノワ・B・マンデルブロですわ。知ってる中で一番オタクっぽいジョークやな。
まあそれはさておき、マンデルブロは、フラクタルは数学者が寮の壁に飾る精神的なアートを作るためだけのもんやないって指摘したんです。フラクタルは自然をより深く理解するのに役立つんです。だってどこにでもあるからな。
まず、なんで木は木らしく見えるんやろ? 実はね、生物学的には「木」なんてものは存在しないんです。
(軽快な音楽)
確かに、わたしたちが「木」って呼んでるものはあるけど、それは見た目のせいやな。
こんな木を見てみると、わたしたちが「木」って呼んでるもんの多くは、木やないものとより近い関係にあって、他の木に見えるものとはむしろ遠い関係にあるんです。
つまり、「木」っていうのは、木らしく見える植物を表現する言葉にすぎないんです。まるで、違うスケールで似たように見える枝分かれをするフラクタル的な成長が、これらの植物が直面した何らかの問題への解決策やったかのようです。
その問題っていうのが、たくさんの太陽光とCO2を吸収することなんです。背が高くなるのもその解決策の一つやし、幹の上にでっかい葉を数枚つけるのも、あるいは街区サイズの樹冠を作って、先端だけに葉をつけるのもありやな。
でも、これらの選択肢はどれも、得るものに比べてエネルギーをたくさん使わなあかんのです。基本的に、わずかな日光のために大量の木材を作らなあかんわけやな。
幸いにも、もっといい方法があるんです。そこでフラクタルが役立つんやな。完璧なフラクタルなら、有限の空間に無限の表面積を詰め込めるんです。
この雪の結晶は大きくなってへんけど、拡大し続けると、最初のレイヤーと同じような、もっと小さなレイヤーが見つかり続けるんです。これを永遠に続けられるってことは、この形を描くのに必要な外側の線が無限に長いってことやな。
木も似たようなことをしてるんです。前のレベルの小さなバージョンとして各レベルを成長させることで、木は体積の中にたくさんの表面積を詰め込めるんです。数学的に完璧なフラクタルみたいに無限ってわけやないけど、でもごつくなりすぎずにより多くの日光を吸収する、かなりクールな方法やな。
木の根っこが似たような成長をするのも偶然やないんです。水分と栄養分をたくさん吸収する必要があるから、フラクタル的な枝分かれが一番効率がええんです。木が引き出せる体積を最大化しつつ、必要以上に大きな配管を作るのにエネルギーを無駄にせんで済むんやな。
一方、わたしたちの体の中にも小さな木があるんです。肺の仕事は酸素を取り込むことで、大人の体は1時間に約15リットルのO2を必要とします。肺が単なる2つの風船やったら、とても間に合わへんやろな。フラクタル的な枝分かれのおかげで、肺はテニスコート半分の面積を持ちつつ、きれいに胸の中に収まってるんです。
(グラフィックの音)
(観客の拍手)
肺だけやなく、わたしたちの体の中には他にも木があるんです。循環器系全体が、フラクタル的な枝分かれの集まりみたいに見えますわな。わたしたちの体には、酸素と栄養を届け、老廃物を除去する血管が約10万キロメートルもあるんです。フラクタル的な枝分かれのおかげで、循環器系は必要な数の血管を詰め込めるんです。これで体のあらゆる点Aとあらゆる点Bをつなげつつ、体の配管を作るのと、そこを流れる血液を作るのに使うエネルギーを最小限に抑えられるんやな。
ある意味、これらの生命システムにはそれぞれ目標があるんです。木はたくさんの光とCO2を吸収したいし、肺はたくさんの空気を取り込みたい、血管は体のあらゆる細胞と栄養のやりとりをしたい。どの場合も、フラクタル的な枝分かれが、基本的に同じサイズを保ちつつ拡大する最も効率的な方法なんです。
この秘密のパターンは、生きてへんものにも現れるんです。世界中の川は、源流から河口まで、枝分かれした形に並んでるんです。そして、もうお分かりやと思いますが、源流では、フラクタル的な枝分かれが特定の土地から水を排出する最も効率的な方法なんです。河口では、土砂が堆積して川をどんどん小さな流れに分けていくので、フラクタル的な枝分かれが見られるんです。
亀裂や雷も、エネルギーを発散させる方法やけど、特定の空間内でそれを行う最も効率的な方法がフラクタル的な枝分かれやということに、もう驚かへんやろな。科学者たちがこれらの成長の仕方をモデル化すると、完璧な数学的フラクタルと同じように、これらの枝分かれのパターンは次元の間として最もよく表現できるってことがわかるんです。
ここまで来ると、わたしたちの周りで見られるあらゆる枝分かれフラクタルパターンの根底に、一つの普遍的な法則があるんやないかって考えたくなるかもしれません。でも、いつものように、自然はそんなに予測可能やあらへんのです。
結晶や雪の結晶の形、さらには人々が時々古代の植物の化石と間違える奇妙な鉱物の堆積物にも、フラクタル的な枝分かれが見られます。
似たようなフラクタルやけど、理由は違うんです。ここでは、温度や湿度、さまざまな化学物質の濃度などが、物を作るための一連のルールとして機能してるんです。これらの構造が成長するにつれて、そのルールが複数のスケールで繰り返され、自己相似的なフラクタル形状が生まれるんです。
驚くべきことに、これらのフラクタル形状が自然界にたくさん現れるのに、これらすべてをフラクタル的に枝分かれさせる単一の遺伝子や物理法則や脳があるわけやあらへんのです。
でも、これらのシステムが一つずつ、できるだけ効率的になるように進化するにつれて, みんな同じ解決策にたどり着いたんです。これによって、物事を興味深い新しい次元から見ることができ, 無限に面白くなるんやな。
好奇心を持ち続けてくださいね。
ほな、みんな。ちょっと急なお知らせやけど。
ドローンで撮影したら何でもかっこよく見えるっていうのは, 誰も否定できへん事実やろ? わたしがルールを作ってるわけやあらへんで、ただそういうもんなんです。
それに、その視点、つまり全体を見渡す視点からしか語れへん話もあると思うんです。だからこそ、わたしには「Overview」っていう、まさにそんな話をする別の番組があるんです。
新しい動画が出てるで、PBS Terraチャンネルでやってます。これ、絶対好きになると思うわ。あそこで作ってる番組で、本物の科学ジャーナリズム賞をいくつも取ってるんです。めっちゃクールやで。ぜひチェックしてみてください。リンクは説明欄にありますし、上のどこかをクリックしてもええです。「Overview」でお会いしましょう。
さて、いつもの締めくくりに戻りますわ。
ほかに無限に複雑で面白いものって何やと思います? それは、Patreonでこの番組を支援してくれてるみなさんです。ありがとうございます、みなさん一人一人に。みなさんのおかげで、こんな質問を研究して、今みなさんの頭に詰め込んだような面白い答えをお届けできるんです。
もしこのコミュニティに参加して、直接この番組を支援したり、こんな動画を作るのを手伝ったり、他の誰よりも先に新しい動画のことを知ったり、他にもいろんなクールなことをしたいなら、説明欄にリンクがあるので、詳しく見てみてください。
次の動画でお会いしましょう。
ところで、ブノワ・B・マンデルブロの真ん中の名前、知ってます?
「ベン・ワット」って今言うたかな?
スタッフ: うん! そうは言わへんで…「ブノワ」やで!
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